【Chain of Thought by YUMA シリーズ#20】
今回のX-Spaceでは、XENEAの共同創設者YUMA氏が「Chain of Thought」の20エピソードにわたる議論を総括し、Web3を「どこで、誰と、何のために構築すべきか」という本質的な問いに深く掘り下げています。
20 Lessons in 20 Episodes — Chain of Thought Recap
Pillar 1 – Building Where It Matters
1. Stable countries don’t need Web3 as much — build where it solves urgent problems.
2. Remittance is still broken — in some regions, Web3 is life-changing, not optional.
3. Financial… https://t.co/JhaoIJDX7n
— Yuma (@yuma_xenea) August 11, 2025
この包括的な概要では、技術的な進歩だけでなく、コミュニティの役割、哲学的な視点、そして急速に変化する世界でWeb3が真に人々の生活を豊かにするための実践的なアプローチが提示されます。特に、単なる投機のためではなく、具体的な課題解決を目指すことの重要性が強調されており、Web3の未来を形作る上での貴重な教訓が凝縮されています。
YouTubeにもアップされているので字幕翻訳で日本語表示可能です。
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真に必要とされる場所で築く
Web3プロジェクトを成功させるには、その技術が最も必要とされている場所、つまり現実世界の切実な問題を解決できる場所で構築することが不可欠です。
安定した国々では既存のシステムが十分に機能しており、Web3は「おもちゃ」としてしか見なされない可能性があります。
安定国はWeb3不要？
日本の市民生活を例に挙げると、銀行決済は即座に行われ、通貨（円）も安定しているため、日常生活においてブロックチェーンを必要としません。
もしあなたの製品の核となる価値提案が、すでにすべてが機能している場所でしか響かないのであれば、それは「おもちゃ」を構築したことになります。真にWeb3を必要としているのは誰か、という問いから始めるべきです。
送金問題は未解決
アフリカ、東南アジア、ラテンアメリカの一部地域では、いまだに送金時に手数料として10%から15%が失われ、着金に数日かかることがあります。
これらの地域では、Web3は「あると便利」なものではなく、貧しい人々や困っている人々の「昇給」に等しい価値を持ちます。ビルダーは、送金手数料や着金までの時間で成功を測り、国ではなく送金経路（コリドー）に焦点を当てるべきです。
金融包摂：耳を傾けることから始まる
単にアプリをリリースするだけでは戦略になりません。
市場ごとにニーズは異なり、安定した貯蓄を求める場所もあれば、マイクロローンが必要な場所、あるいは単に価値を安全に保管する場所（オフライン、オンライン、クラウド、分散型問わず）が必要な場所もあります。
地域ごとの機能フラグ、現金対応パートナー、USDTレール、オフラインQR、アジアのネットワークなど、現地の状況に合わせた対応が求められます。金融包摂はローカルであり、鍵は地域コミュニティでのローカルな普及にあります。
現実世界イベントの力
対面でのイベントは、オンライン広告よりもはるかに大きな影響力を持つことがあります。
例えば、一度の会食が100回のバナー広告よりも多くの結果を生み出す可能性があります。予算はリーチだけでなく、リアルな交流の場（部屋）にも割くべきです。コミュニティリーダーとは、ツイートするよりも倍の頻度で集まることが推奨されます。
コミュニティをインフラと見なす
Web3プロジェクトの持続可能性と成長には、コミュニティそのものをインフラとして捉える視点が不可欠です。
単なるマーケティングチャネルではなく、プロジェクトを推進する生命線としてのコミュニティの力を最大限に活用することが求められます。
コミュニティの連鎖：止められないネットワーク効果
強力なローカルグループは非常にパワフルであり、それらが「コミュニティのコミュニティ」として連結されたネットワークは、止めることができません。
啓発活動を中央集権化するのではなく、プレイブック、デザインキット、バウンティなどを提供し、現地のリーダーに地域化を任せるべきです。なぜなら、あなたがどれほどマーケティング戦略やローカライズに努力しても、現地に住み、コミュニティの一員にならない限り、現地の文化を真に理解することはできないからです。
初期段階：分散化より普及が重要
純粋な分散化は洗練された理想ですが、初期段階においては、幅広い利用がプロジェクトの「酸素」となります。
ホワイトペーパーよりもウォレットの普及を優先し、最初の成功へのシンプルな道筋を提供することが重要です。成長するにつれて分散化を強化していくことができますが、まず何よりも普及が成功の鍵です。
リソースの普及は、プロジェクトの成功を定義する上で、ハードウェアの分散化よりもはるかに困難な課題であるとされています。
コミュニティ所有：インフラ運用なしで可能
誰もがハードウェアを運用したり、ノードを監視したりしたいわけではありません。
分割されたノード所有権やプールされたステーキングは、コミュニティがオペレーターになることなくインフラを所有することを可能にします。Xeneaの今後のノードセールは、ノード所有権のフラクショナライズドNFTsとして提供され、これらは最も高い利回りを持つノードタイプの組み合わせになるとのことです。
プロジェクトの創設者は、専門家が運営しつつコミュニティが所有する選択肢を提供し、信頼性が高く退屈な方法でペイアウトフローを管理することが推奨されます。
小さなグループが世界へ：意図的なつながり
主要都市にいる必要はありません。緊密で意図的なグループは、インターネットを通じて遠くまで影響を及ぼすことができます。
フィリピンのミンダナオ島（首都マニラと比較して地方）を拠点とする「Devout DePIN」コミュニティが良い例です。彼らは小さく始まったものの、一貫性と強い目的意識を持ち、その情熱と目的がインターネット上で広がり続けています。コミュニティが仕事を運びますが、それをどれだけ運べるかは技術によって決まります。
未来へ備えるテクノロジー
Web3の真価は、今日の問題を解決し、かつ明日の進化に対応できる技術を構築することにあります。特にAIの台頭が示すように、技術は絶えず進化しており、それに先んじる設計思想が求められます。
動的データ：AI時代のWeb3の鍵
ほとんどの分散型ストレージは静的ファイルをうまく処理しますが、AIエージェントやゲームプラットフォームは、リアルタイムで、アプリ専用で、検証可能で、遅延のないデータストリームを必要とします。
多くのWeb3ネイティブアプリは、この部分をAWSやAzureのような集中型クラウドに密かに外部委託しています。もしあなたのアプリが「リアルタイム」を謳うなら、ストレージは「ストリーミング＋検証可能」でなければなりません。Xeneaの分散型動的ストレージは、この主張と現実のギャップを埋めるために存在します。
民主主義の証明：誰もが参加できるガバナンス
ガバナンスは、ゲート（閾値）なしに、誰もが参加できるものであるべきです。Xeneaは、すべてのウォレットが投票ノードになれるようなコンセンサスメカニズムを構築しています。
ここでは、資本の多寡は関係ありません。複雑な設定は不要で、誰もが民主的なプロセスに参加できます。
起源の証明：AI時代における信頼の基盤
見出しがクリックのために歪曲され、AIが安価に偽造品を生み出す現代において、「来歴（provenance）」（誰がいつ何を作り、何が変更されたか）の検証は必須となります。
コンテンツにおけるHTTPSのように、来歴は信頼の基盤です。署名し、タイムスタンプを付与し、強固なストレージに証拠を固定することが求められます。
MPC：分離しないプライバシー
マルチパーティ計算（MPC）は、複数の参加者が暗号化されたデータ上で計算を行い、生データを公開することなく共同作業を可能にする技術です。
これは「プライベートなサイロ」ではなく、「プライベートなコラボレーション」を実現します。DePIN、バイナンス、そしてAIの領域において、MPCは、データのカストディを手放すことなく、共同リスクモデル、共有フローシグナル、機密性の高い分析を可能にします。
実践の中の哲学
技術は単なるツールであり、その背後にある哲学がその方向性を決定します。
Web3プロジェクトは、現実世界の複雑さと人間の本質を理解し、理想論だけでなく、実践的な倫理観をもって構築されるべきです。
グレーゾーンの重要性：絶対的な透明性の限界
絶対的な透明性は罪のない人々を罰し、絶対的な秘密主義は罪人を匿います。
社会が機能し、妥協が生まれるのは「グレーゾーン」の中です。システムを設計する際には、公正さを保つために必要な情報だけを明らかにし、それ以上は開示しないよう努めるべきです。途上国の露店市場の例えのように、厳格な規制を課すことが、かえって社会の現実的なニーズを損なう可能性があることを認識し、グレーゾーンを健全で実践的なものにすることがWeb3創設者には求められます。
柔軟性の確保：システムの生命線
スマートコントラクトは決定論的ですが、人生はそうではありません。アップグレードパス、緊急停止機能、そして廃止条項を構築し、それらを誰がいつ発動できるかを明記すべきです。「正当性」は機能の一部であり、柔軟性こそがシステムを生き永らえさせます。
Web3のためのWeb3ではない：現実世界の課題解決
ブロックチェーンのためにブロックチェーンを構築してはなりません。
もしWeb2がより安価で安全に問題を解決できるなら、Web2を使用すべきです。多くのWeb3プロジェクトが、ブロックチェーンや投機のためだけに構築され、真に人々のために作られていない現状があります。
テクノロジーは常に人々に力を与えるものであり、XENEAの分散型動的ストレージも、富裕層や巨大テック企業のためだけでなく、根本的には人々に利益をもたらし、力を与えることを目指しています。
テクノロジーの透明性：ユーザーは結果を記憶する
Web3が成功する時、人々はブロックチェーンの存在を忘れ、その結果だけを覚えているでしょう。
新しい習慣を強いることなく、馴染みのあるUX、ログイン方法、レシート、人間的な言葉遣いを最適化すべきです。複雑な裏側の仕組みは隠し、ユーザーが体験する結果を前面に出すことが重要です。例えば、XENEAウォレットはシードフレーズを覚える必要がなく、Googleアカウントでサインインできます。
視点を保ち続ける
世界が急速に変化する中で、Web3のビルダーは常に足元をしっかりと固め、長期的な視点を保つ必要があります。技術の進歩を追いながらも、最も重要なのはユーザーとコミュニティの声に耳を傾け続けることです。
AIの加速：エージェント中心設計の必要性
AIはロードマップよりも速く進化しています。数週間で、単なる高性能なLLMから、タスクを計画し、ツールを呼び出し、調整できるシステムへと発展しました。
半自律的なライフマネジメントは、もはやSFではなく、製品としての現実味を帯びています。パーミッション、レート制限、来歴、ストリーミングストレージなど、エージェントのためのアーキテクチャを今すぐ設計すべきです。
XeneaはAIのためのストレージレイヤーであり、リアルタイム編集などの動的データサポートがAIエコシステムにとって不可欠です。
使いやすさの勝利：理想より実用性
ほとんどのユーザーは分散化そのものには関心がありません。彼らが気にするのは、それが機能するかどうか、そして間違いを元に戻せるかどうかです。
デフォルトで安全性を確保し、確認、返金、人間によるサポートを提供することが重要です。また、「初心者モード」のような、訓練の機会を提供するモードも検討すべきです。多くのWeb3創設者が見落としがちなこの真実は、使いやすさが理想に勝るということです。
パートナーシップの目的：人々への貢献
テクノロジーと同様に、パートナーシップも人々に貢献するものでなければなりません。地理的な制約が、ユーザーが享受できる体験の「判決」であってはなりません。
XENEAウォレットのAlchemy Payとの提携によるオン/オフランプ機能は、法定通貨と仮想通貨間の移動をスムーズにします。特定の地域ではコンプライアンス上の理由でサポートされていない場合でも、それらのユーザーが将来のエアドロップなどから除外されるわけではない、と明言されています（ただし、国際的な制裁下にある国は除く）。
傾聴し続ける：最高のロードマップは対話から生まれる
これまで話されてきた20のエピソードで得られたアイデアの半分は、コメント、DM、そしてイベント後の会話から生まれたものです。
Web3のビルダーや創設者は、コミュニティをマーケティングチャネルとしてではなく、「プロダクトの器官」として扱うべきです。ロードマップを公開し、質問を投げかけ、公開の場で変更を議論することで、常にコミュニティから新たな洞察を得ることができます。最終的な結論は、「重要な場所で、重要な人々と、重要な問題のために構築せよ。その他はすべて些細なことだ。」という一言に集約されます。
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